福島市こども未来部 幼稚園・保育課 (福島県福島市)
施設種別 自治体・公立施設
成果 保護者からの評判UP事務の省力化手書き業務の削減電話対応業務の削減先生間のコミュニケーション改善
この事例の要約
公立保育所・認定こども園・幼稚園計24施設でコドモンを導入している福島県福島市。保護者の利便性向上と、現場の業務省力化による保育の質向上を目指し、2020年に東北地方では初の中核市での一斉導入を実現しました。それから約3年、現場の状況はどのように変化したのか、どのように成果を実感されているのか、福島市こども未来部の鈴木さまと福島市立ひらの認定こども園 副園長の渡邉先生にうかがいました。
鈴木さま:福島市こども未来部 幼稚園・保育課 幼保管理係の鈴木です。コドモン導入にあたっては、現場の職員の業務省力化による働きやすい環境づくりと保護者の利便性向上、さらに当時は新型コロナウイルスの流行が拡大している最中でしたので、新しい生活様式に対応していくことを目指してICTを検討していました。
渡邉先生:福島市立ひらの認定こども園の副園長をしております渡邉です。今年度で3年目で、コドモン導入時は別の保育所で所長をしておりました。導入にあたっては、公立園14園の代表が集まり話し合いを行いました。私たちからの一番の要望は、「保護者に一斉連絡をしたい」ということでした。コドモン導入以前はこうしたツールがなかったため、なにかがあった場合は、各ご家庭に1軒ずつお電話をしていたのでとても大変でした。ICTを導入すれば、そうした一斉連絡ができるというところからはじまり、さらに登降園管理もできる…と情報収集をしていきました。
鈴木さま:最終的にコドモンを選んだ大きな理由に、セキュリティ対策がしっかりしていること、よりセキュアな行政端末につながるLGWANで使え、かつLGWANでの実績が豊富なことがあったと導入担当の前任者から聞いています。
渡邉先生:ICT化やこうしたシステム導入ははじめてのことで、パソコン自体に不慣れということもあり、漠然とした不安感はありました。けれど、導入に関しては働き方改革、現場の負担軽減に向けてという目的が明確にあったので、反対するような意見はありませんでした。やりたくないではなく、どうやってやっていこうかという雰囲気でしたね。
鈴木さま:導入を担当していた前任者が、現場の先生方を集めて説明会を実施していました。コドモンの担当さんと連携をとりながら進めたと聞いています。
渡邉先生:コロナ禍では、コドモンが本当に役に立ちました。保護者への一斉連絡もそうですが、登降園管理が徹底できていたことのメリットは計り知れません。
コドモン導入以前は、登降園時間の管理は各保育室の入り口に設置した時間記入用のボードに、保護者に手書きで朝は8時何分、帰りは17時何分……と時間を書いていただいていました。忘れる方もいますし、急いで書かれると数字が判別しづらかったり、時間を間違えて記入されていると思われることもありました。
コドモンを導入して、ICカードで打刻をするようになってからは、時間が正確にわかるようになりましたし、データをExcelで出せることで報告書作成もしやすく、管理する職員の負担も軽減されました。また、保護者の方も、きょうだいがいると各クラスで記入しないといけなかったのが一度に打刻できるのが便利だとおっしゃっています。
こうして正確な時間、その時間にどの園児がいたのかがわかることで、感染が発生した際にはそのデータをもとに濃厚接触者が誰なのか、何名いるのかがすぐに判断でき、クラス閉鎖や園閉鎖の決断ができました。
「お知らせ一斉配信」により、保護者への連絡も速やかでした。このときに、時間が不正確であったり、保護者へのご連絡を電話で1軒ずつしていたら…と思うといかにコドモンが役に立ったのか実感します。
鈴木さま:各施設の電話回線は基本的に1本です。お電話を受けるのも、施設からかけるのもひとりずつしかできません。そういった意味で、負担軽減の効果はかなり大きいです。現場の業務省力化は、導入の大きな目的のひとつでしたから、目に見える成果があり、また現場でそれを実感いただけているのもうれしいです。
渡邉先生:コロナ関連では、保護者がコドモンで欠席のご連絡をくださる際に選択する欠席の理由に「コロナ欠」や「出席停止」が加わったのも、その後の便利さにつながりました。
うちはこども園ですので、1号認定の子どももいます。1号認定の場合、保育所と違い、出席日数の報告にあたり出席停止や忌引きの報告もしなければいけませんので。
渡邉先生:登降園の打刻、出欠の確認、保護者へのお知らせ一斉配信、アンケート、身体測定入力、個別指導計画などをやっています。
導入にあたり、市でクラスに1台パソコンを配置する予算をとってくれたので、身体測定の入力や指導計画は各クラスでやっています。コドモンは使い方が難しくないので、最初は「パソコンはちょっと…」なんて言っていた先生も今ではスムーズに使えるようになっています。
身体測定の入力は、以前は園に保管する一覧表にまず記入し、そのあと園児それぞれの連絡帳に転記して保護者にお伝えしていたのですが、今はコドモンに入力するとすぐ保護者のスマホにも反映され、手書きの二重の手間がなくなりました。
「保護者からの連絡」もとても便利です。朝の電話がぐっと減り、これまで必ずひとりは電話番として待機する係が必要でしたが、それも不要になりました。通常の欠席連絡をコドモンで受け、電話が混み合わないことで、直接お話ししたい重要なことをゆっくりお聞きできるようになりました。
鈴木さま:先ほどもお話ししたように電話回線が1本ですと、その間にかけてくださる保護者には何度もかけなおしていただかないといけなかったので、職員にとっての負担が軽減されたのはもちろんのこと、保護者の利便性にもつながっていると思います。コドモンと電話の役割分担が自然にできたのは、役所としては意図していなかったよい効果です。
渡邉先生:保育参観の希望日や、駐車場利用の有無を確認するのに活用しています。年に一度実施している、園の評価にかかわる保護者アンケートにも使っています。これは全体の評価として、幼稚園・保育課への報告にも使っています。
鈴木さま:保護者アンケートは公立保育所全14園で実施しています。同じ質問をして、答えのグラフなどを同じような形で見られるのは、自治体側としても利便性が高いです。
鈴木さま:日誌の様式統一は、待機児童対策の流れで、保育者の転職や再就職の支援を目的として実施しました。現場の保育者が施設を変わられた際に、帳票の様式の違いに戸惑うという話も聞いていましたし、私立園から「公立園ではどういう様式を使っているのか」との問い合わせを受けていたこともあり、私立園でも使える統一の様式を作成・共有しました。
渡邉先生:公立ではそれまでもずっと統一の様式を使っていたのですが、それを機に私立園さんにも共有して、使っていただけるようになりました。
公立園では全園これを使うため、コドモンの「記録と計画」でオリジナル帳票を作成、登録して使っています。0、1、2歳の個人月案もコドモンで作成、保管しているので、年齢があがっても台帳を見ればその子の育ちが見えて、すごく便利になりました。
渡邉先生:コドモンがある環境が、職場として当たり前という感覚になっていますよ。新しく入られた先生にも、「これを使ってこうしてくださいね」というカンタンな説明をするだけで負担なく使えています。
渡邉先生:そういえば、園だよりをつくるときに、「園内連絡」を活用していますね。各クラスの様子を教えてくださいと書き込むと、各クラスからいっぺんに最近の子どもたちの様子が集まってきて、主任がおたより作成に活かしています。
鈴木さま:今回のインタビューを通して、現場のみなさんにとってコドモンがあることがこれだけ当たり前になっていて、いろんなところでコドモンを使っているんだということを改めて知ることができました。こちらへは困ったときに相談いただくことが多いので、自治体として導入したものが、きちんと活用につながり、効果が出ていることをうれしく思います。